2018年9月13日木曜日

北海道ブラックアウト

2018年9月6日午前3時7分、北海道南西部、胆振(いぶり)地方を震源とする最大震度7の地震が発生した。13日で1週間、国内で初めて管内全域が停電となった前代未聞の「北海道ブラックアウト」の経緯が、読売新聞に掲載された。

画像:読売新聞2018年(平成30年)9月13日号より転載
1 地震発生時(電力の需要と供給がバランス状態)
6日午前3時7分、北海道地震発生。苫東厚真火力発電所(出力165万kW)の1、2、4号機が、約300kwの道内需要の半分を賄い、フル稼働していた。周波数は、50Hzに保たれていた。

2 地震発生直後(電力の需要と供給のバランスが崩れる)
午前3時8分、震源に近い苫東厚真の2号機(60万kw)と4号機(70万kw)の配管やタービンが損傷し、相次いで緊急停止した。1号機(35万kw)は持ちこたえて稼働を続けたが、電力の需要と供給のバランス崩れ、周波数が低下した。

3 一部地域を強制停電し電力の需要と供給のバランスを維持する 
大規模な発電所が停止すると、他の発電所に負担が掛り、損傷に繋がるため、地震発生から数分後、一部地域を強制停電し、需要と供給のバランスを計った。周波数は50 Hzに回復した。地震発生から10数分後、また周波数が急落、2回目の強制停電、需要と供給のバランスを計った。周波数は50Hzに回復した。

4 電力の需要と供給のバランスに失敗
3回目の周波数急落が発生。強制停電は不発。電力の需要と供給のバランス回復に失敗した。 

5 北海道ブラックアウト
6時25分頃(地震発生から18分後)、苫東厚真1号機、奈井江、伊達、知内、北本連系線が次々と停止、全ての発電所が止まり、北海道ブラックアウトが発生した。

6 周波数変動 
電力会社から各家庭や工場に送られてくる交流周波数は、静岡県富士川を境にして、東側が50Hz、西側が60Hzである。周波数変動は、各種の電気機器に与える影響が大きく、常に一定になるように送電されている。周波数を一定に保つには、電力の需要(消費量)と供給(発電量)のバランスを保つ必要がある。需要が供給を上回ると周波数は低下し、逆に需要が供給を下回ると周波数は上昇する。
周波数は、自転車の回転数に例えられる。例えば、3人乗り自転車で、急な坂道を上っている場合を想定する。3人全員でこいでいる時には、回転数(周波数)は滑らかで、スムーズに坂道を上ることができる(周波数、正常の状態)。この時、3人の中の1人がこぐのを止めてしまうと、残りの2人に負担が掛かり、回転数が下がり、スピードも落ちてくる(周波数、低下の状態)。続いて、もう1人が離脱すれば、こぎ手は1人となり、回転数、スピードは極度に低下し、ふらつきも発生、最後には、自転車は転倒してしまう(発電所ダウンで、ブラックアウトの状態)。

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